プレゼンのあとには、“自分の”やりがいを掴むワークを実施
——ヤリイカ大賞の当日選考が行われている間に、社員のみなさんには「わたしの“働く”を創造するワーク」を行ったそうですね。
山崎 プレゼンテーションを聞いて刺激を受けた社員に、自身のやりがいについて考えるきっかけをつくってもらいたいという思いで企画しました。6人ずつのテーブルを35卓準備し、部長・課長レイヤーの方が必ず1人以上入り、所属年次や部門がバラバラになるように座席を指定。その中でファシリテーター・書記・タイムキーパー・話題提供者の4つの役割を決めてもらいました。そして話題提供者から、自分のやりがいを感じたエピソードをひとことで伝えてもらい、それに対して他のメンバーがどんどん質問し、深掘りしていくワークです。30分という限られた時間でしたが、他の人と話し合うことでしか得られない気づきを持ち帰ってもらえたらという狙いがありました。
——参加者の反応はいかがでしたか。
山崎 私はヤリイカ大賞の選考会場に移動してしまったので、その場にはいなかったのですが、あとで写真を見てみると、楽しそうな笑顔がたくさんあったのが印象的でした。事後のアンケートでも、「社内の知り合いが増えてうれしい」「さまざまな人の多様な考え方に触れられてよかった」など、すごくポジティブな感想ばかりでうれしかったです。いつもは10数件のフリーコメントが、今回は60件以上集まったので、反響の大きさを感じられました。
スコアは下がるかもしれないが、やってよかった
——総会後のエンゲージメントサーベイでは、「成長機会」や「やりがい」のスコアに変化は見られたのでしょうか。
山崎 スコアに変化が表れるのは、まだまだ先だと思っています。むしろ、直近では1度下がるのではないかとも考えています。ヤリイカ大賞の出場者のようなやりがいを見てしまったら、自分と比較して落ち込む人もいるのではないかと思いますし、やりがいについてあらためて考えるきっかけがあったからこそ、自分を見つめ直す時間が必要な人もいるからです。
しかし、明確にいえるのは、スパイダープラスに新たな文化が生まれたということです。「次は自分も出たい」「自分の組織からヤリイカ大賞の出場者を出したい」といった声を耳にするようになり、社員のみなさんが目指すものをつくれた実感があります。
石井 今後も続けるのだとしたら、総会の数ヵ月前くらいから「もうすぐヤリイカ大賞の時期だね」と社内がざわつくくらいになってほしいですね。エンジニアだったら「これをリリースまで持っていけたら、ヤリイカ大賞に応募できるかな」とか、営業だったら「このお客様から発注がもらえたら、ヤリイカ大賞に応募しよう」といった会話が、社内のあちらこちらから聞こえてくるのを期待しています。
——では最後に、貴社の組織づくりにおける展望を教えてください。
山崎 まだ、「成長機会」や「やりがい」を高めるためのきっかけを提供したにすぎず、入り口に立ったばかり。次は、会社の目指す姿と自分の仕事をつなげるプロセスが不可欠です。ここをやらない限りはスコアの向上は期待できないと思うので、今後も全社的な機会として設けていけたらと考えています。
加えて、スパイダープラスは組織が急拡大している最中です。そのため、長く在籍している人たちの中には、自分が取り残されているような感覚を持ってしまう人も出てくるのではないかと懸念しています。しかし、バーティカルSaaSでは、深い顧客理解が事業の要です。長く事業に携わる方々の力がとても重要ですし、1人ひとりがやりがいを持って前のめりでなければ、ミッションの実現は叶いません。それに、新しい人が次々と入ってきても、昔からいる人がどんどん辞めていくような組織にはしたくない。
だからこそ、すべての社員がキャリアオーナーシップを持って、ともに成長していける、強い組織をつくるための施策を今後も打ち出していきたいです。