高度IT人材需要の高まり
第4次産業革命以降、テクノロジーは国・業界・業種の垣根を越えて様々なインパクトをもたらしてきた。2018年現在においては「デジタルマーケティング」「ブロックチェーン」「AI」「IoT」等がバズワードとして取り沙汰され、特にそれらを専門として取り扱う「高度IT人材」の需要が世界的に高まっている。
翻って日本の状況を見てみると、下記図1の示すとおり、2016年以降IT人材の供給不足は拡大しており、2018年時点では14.4万人の需要に対して11.2万人の供給(3.2万人不足)、2020年には17.7万人の需要に対して12.9万人の供給(4.8万人不足)が見込まれるなど、日本でも高度IT人材の需要は年々高まっていることが伺える。
そのような状況の中日本企業が高度IT人材を確保しようとする場合、まずは採用エージェントやヘッドハンターを通じて日本の採用マーケットにアクセスすることが多いが、このような人材がマーケットに出てくることは少なく海外と比べて人材を確保することが非常に困難な状況となっている。理由としては日本のIT人材の流動性が極端に低いことが挙げられる。下記図2で示されているとおり、転職経験が0回と回答した日本のIT人材は47%にのぼり、諸外国平均の18.4%を大きく上回っていることや、図3で示されているとおり、転職をできる限りしたくないまたは絶対にしたくないと回答した日本のIT人材は32.6%と、諸外国平均の19.7%を大きく上回っていることも流動性の低さを裏付けている。
本来日本のIT人材が流動化し、需要のある企業に(ある意味パッチワーク的にでも)労働力や知見を供給できるような状況が期待できればよいのだが、上記の図2および図3の結果を踏まえると、日本の国内供給のみで高度IT人材の需要を満たすことは(少なくとも今すぐには)難しいと思われる。