一通り取得しているレベルでないと会話に入れない
――御社ではどのくらいの方がAWSの資格を取得していますか。
1人で複数の資格を持っているメンバーが多いです。アソシエイトレベルが270、プロフェッショナルレベルが133で、合計すると400強です。さらにネットワーク、ビッグデータ、セキュリティといった専門知識(スペシャリティ)の資格も51。それも含めると延べ454になります[1]。
――それはエンジニアだけではなく全社員で、ということですか。
主にエンジニアが取っています。
――なぜ御社はAWS認定の取得に積極的なのでしょうか。
AWSのパートナーとして、AWSの技術でナンバー1の集団であり続けたい。そのためでもありますが、資格取得はあくまで自発的なものです。ただ、資格を取ったら合格した分の費用を会社が負担する制度があります。
それでも社員がAWS認定を取得しているのはなぜか。一通り資格を取ってAWSの基本的な技術を理解していないと、他のメンバーと技術的な話ができないと思っているからです。実際、社内では全員がAWSの技術に詳しいという前提で会話が交わされます。なので「いつまでにどの資格を何個取りなさい」というような管理はせず、自主性に任せています。
クラスメソッド入社前に私がAWSの勉強を始めたのも、弊社代表の横田(聡氏)が執筆した「AWS認定の日本語試験が始まりました」というブログを見て、「これだ」と思ったことがきっかけでした。また、今後システムはクラウドへシフトしていくだろうという中で、横田には認定資格にもフォーカスしようという思いがあった。私が入社した2015年には資格取得が当たり前になっていました。
――社長の肝入りで始まったのですね。
そうです。AWSのビジネス自体を横田が主導し、チームを立ち上げた背景もあります。最初は賛同を得られにくかったと聞いています。数人のチームで始め、中途採用のメンバーで脇を固めていきました。その中に認定資格やブログ(AWSの技術情報を発信するために同社社員が執筆)がありました。
――ブログも同じ頃に始めたのですか。
もう少し前だと聞いています。ブログを積極的に書いてお客様向けにアピールする一方、AWSチーム立ち上げのメンバーを募集する訴求力にもつながったのではないでしょうか。
――最初、賛同が得られなかったのは興味深いですね。
元々アプリケーションの受託開発をやっていた会社で、インフラが得意ではなかったのです。横田もインフラ技術に明るくないながらもAWSを始めました。そこで実績の少ないインフラ技術への対応力を示す意味でも、資格取得が有効だったようです。
――AWSには研修もたくさんありますが、御社としてそれらを利用することは?
AWSが実施する研修は非常に評判も高く、認定パートナーとして各種研修に参加させていただいています。ただ、資格取得のみが目的の受講はしていません。社内でAWSの仕事をしつつ、エンジニア同士でコミュニケーションをとるのが最も勉強になると、みんな口を揃えて言います。チャットツールなどを使って日々ディスカッションし、それが情報源になっています。様々なアーキテクチャや事例を知るには生の情報に接するのが一番です。
――AWSの勉強は社内のリソースで行うのですね。
社内と、あとは個人でやってもらう形です。AWSの試験はよく作り込まれており、資格はスキルを示すための良い指標になります。
――内容が良いのですね。知識が備わっているかどうかの指標として使える。
弊社では、エンジニアのスキルなどに応じて「AWSエンジニア」「AWSソリューションアーキテクト」「AWSエキスパートソリューションアーキテクト」という3段階の格付けをしており、これら3つのロールでは仕事が異なります。AWSエンジニアにはAWS未経験か、経験が少ない状態で入社したメンバーが所属します。そこからの昇格には、プロフェッショナル資格の取得が最低条件の1つとなっています。
――御社では一人前であることを示すために、プロフェッショナルの資格が必要なのですね。
今はそうなっています。弊社はお客様からAWSに詳しいと見られており、プロフェッショナル資格が必須です。
注
[1]: 数字はいずれも2018年12月7日当時(重複あり)。2019年1月25日現在、認定資格保有数は500を超えている。