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男女雇用機会均等法とは? 推進者の選任方法や役割

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 男女雇用機会均等法とは、募集・採用、配置・昇進等の雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止や婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止等を定めた法律です。本記事では、男女雇用機会均等法の全体像と、企業において努力義務とされている男女雇用機会推進者の選任についてガイドします。

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必ずチェック! ポイント

  • 昭和60年に制定された男女雇用機会均等法は、雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止や、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止などを定めた法律。
  • 平成9年、平成18年、平成29年、令和2年の改正を通じて、差別規定の強化や間接差別の禁止、セクハラ・マタハラ防止措置の義務化、ポジティブアクションの推進など、企業に求められる責任が厳格化している。
  • 各事業所において、性別にとらわれない人事管理を徹底させ、女性が能力発揮しやすい職場環境をつくるため、企業は男女雇用機会均等推進者を選任する努力義務がある。

関連サイト・資料

3分でチェック! 男女雇用機会均等法

 男女雇用機会均等法とは、雇用分野における男女の均等な機会および待遇を確保し、女性労働者の就業に関して、妊娠中・出産後の健康確保等の措置を推進することを目的とした法律です。

 働く人が性別により差別されることなく、かつ、働く女性が母性を尊重されながら能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは、日本の経済発展のために不可欠です。

 当法律は、平成9年と平成18年に改正された際、差別に関する努力義務規定の解消や間接差別の禁止の導入、企業に対するセクシュアルハラスメント防止措置の義務化、妊娠・出産等を理由とした不利益取り扱いの禁止など、複数の条文が追加・変更されて厳格化してきました。

 さらに平成29年と令和2年の改正では、職場におけるセクシュアルハラスメントおよび妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(いわゆるマタハラ)の防止対策が強化されています。今後も、男女雇用機会均等法を遵守し、変化に対応するためにも、各企業において「男女雇用機会均等推進者」を選任することが重要といえるでしょう。

男女雇用機会均等法の主要な条文

 男女雇用機会均等法の全体像を理解いただくため、主要な条文とポイントをまとめました。

企業に求められる対応に関連した条文

企業に求められる対応に関連した条文を抜粋 条文の概要
5~8条 性別を理由とする差別の禁止
  • 採用・配置・昇進・教育・契約更新・退職など、雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別を禁止する。(第5~6条)
  • 採用において身長・体重や体力を要件とするなど、実質的に性別を理由とする差別になるおそれがある間接差別を禁止する。(第7条)
  • 女性労働者についての措置に関する特例として、男女間の格差解消を目的として行う女性を優遇する取り扱いは違法とはならない。(第8条)
9条 婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等
  • 婚姻・妊娠・出産を退職理由として予定する定めを禁止する。
  • 婚姻を理由とする解雇を禁止する。
  • 妊娠・出産・産休取得等による解雇その他不利益取り扱いを禁止する。
  • 妊娠中・出産後1年以内の解雇は、事業主が、妊娠等が理由でないことを証明しない限り無効とする。
11条~11条の4 セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産等に関するハラスメント対策
  • 職場におけるセクシュアルハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置をしなければならない。
  • 職場における妊娠・出産等に関するハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置をしなければならない。
12~13条 母性健康管理措置 妊娠中・出産後の女性労働者が保健指導・健康診査を受けるための時間の確保、当該指導・診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため必要な措置をしなければならない。
13条の2 男女雇用機会均等推進者の選任 職場において男女が均等な機会と待遇を確保できるよう、必要な対応を適切かつ有効に進めるための業務を担当する者として、男女雇用機会均等推進者を選任することを努力義務とする。
労働者派遣法47条の2 派遣先に対する男女雇用機会均等法の適用 妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止、セクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産等に関するハラスメント対策、母性健康管理措置についての規定は派遣先事業主にも適用される。
均等則13条 深夜業に従事する女性労働者に対する措置 女性労働者を深夜業に従事させる場合には、通勤および業務の遂行における安全の確保に必要な措置を講ずることを努力義務とする。

国・厚生労働省・都道府県労働局長などに関連する条文

企業に求められる対応に関連した条文を抜粋 条文の概要
14条 事業主に対する国の援助 男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための自主的かつ積極的な取り組み(ポジティブ・アクション)を行う事業主に対し、国は相談その他の援助を実施する。
15~27条 労働者と事業主との間に紛争が生じた場合の救済措置
  • 企業内における苦情の自主的解決(第15条)
  • 労働局長による紛争解決の援助(第17条)
  • 機会均等調停会議による調停(第18~27条)
29~30条 法施行のために必要がある場合の指導等
  • 厚生労働大臣または労働局長による報告の徴収、助言・指導・勧告(第29条)
  • 厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名公表(第30条)
  • 報告徴収に応じないまたは虚偽の報告をした場合、20万円以下の過料(第33条)

特に押さえておきたい条文

 男女雇用機会均等法の条文すべてを熟知するのが難しい方もいるでしょう。ここでは、特に押さえておきたい条文を抜粋して補足説明します。

1:性別を理由とする差別の禁止(第5~8条)

A. 雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止(第5~6条)

 男女雇用機会均等法の趣旨は、労働者が性別にかかわらず雇用の分野において平等な機会を得て、その意欲と能力に応じた待遇を受けられるようにすることです。

 具体的には、「女性(または男性)だから」という固定観念や一般論に基づいて、男女を異なる扱いにしないことが求められます。

<性別による差別が禁止されている場面>
  • 募集・採用
  • 配置・昇進・降格・教育訓練
  • 福利厚生
  • 職種・雇用形態の変更
  • 退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新 など

B. 間接差別の禁止(第7条)

 企業が行う労働者の性別以外の事由を要件とする措置のうち、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして、厚生労働省令で定める措置について、合理的な理由がない場合は「間接差別」として禁止しています。

<厚生労働省令で定める措置>
  • 労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること
  • 労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
  • 労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること

 なお、省令で定めるもの以外については、均等法違反ではありませんが、裁判においては間接差別として違法と判断される可能性もあります。

C. 女性労働者についての措置に関する特例(第8条)

 性別による差別を禁止する一方、雇用の場で実際に存在する男女間の格差を解消するために、女性を対象とした優遇措置や特別な対応を行うことは違法ではないと明記しています。

2:婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(第9条)

<婚姻、妊娠・出産に関する禁止事項>
  • 結婚・妊娠・出産を予定している女性労働者は退職しなければならない制度
  • 結婚を理由とする解雇
  • 妊娠・出産・産休取得など厚生労働省令で定める理由による解雇や不利益な扱い

 また、妊娠中または産後1年以内の女性労働者を解雇する場合、事業主が「妊娠や出産を理由とした解雇ではない」ことを証明できなければ、その解雇は無効とされます。

 結婚・妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いの具体的内容は、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」で示されています。

3:男女雇用機会均等推進者の選任(第13条の2)

 職場で男女が平等に機会や待遇を得られるよう、必要な措置を適切かつ効果的に実施する役割を担当する者として、事業主は、男女雇用機会均等推進者を選任するよう努めなければなりません。

公表・実施状況(令和4年・5年度実績)

 「令和5年度雇用均等基本調査」によると、女性管理職の割合や育児休業の取得状況において、男女平等を目指した進展が見られる一方で、依然として課題が残っています[1]

女性管理職の状況
女性管理職を有する企業の割合は、全体的に微増・横ばいの傾向にあります。部長職ありの企業は12.1%(令和4年度12.0%)、課長職ありの企業は21.5%(同22.3%)、係長職ありの企業は23.9%(同22.9%)となっています。
一方で、企業内の管理職に占める女性の割合としては、部長職では7.9%、課長職では12.0%、係長職では19.5%となっており、管理職のポジションにおける男女格差が依然として存在していることが分かります。
育児休業の取得状況
女性の育児休業取得率は84.1%(令和4年度80.2%)と高い水準を維持しています。男性の育児休業取得率も30.1%(同17.13%)と前年度から大幅に増加しており、男性の育児参加が進んでいることがうかがえます。しかし、男女の取得率には依然として大きな差が見られます。

 以上の結果より、企業における女性管理職の割合や男性の育児休業取得率は徐々に改善されつつありますが、男女平等の実現にはさらなる取り組みが求められます。企業は、女性が管理職に就きやすい環境の整備や、男女問わず育児と仕事を両立しやすい職場づくりを進めることが重要です。

相談窓口

 全国47都道府県にある労働局に置かれる「雇用環境・均等部(室)」にて相談が可能です。

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この記事の著者

横内 さつき(ヨコウチ サツキ)

中小企業の採用コンサルタント/人事労務・金融など専門領域の編集者・ライターとして活動する複業フリーランス。パーソルキャリアで求人広告営業、人材系スタートアップにて子育て世代や外国籍向け人材事業を経験。生命保険やカフェ店長、Web制作会社など、異業種の経験も豊富に持つ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

内山 美央(ウチヤマ ミオ)

うちやま社会保険労務士事務所 代表。新卒3年目で社会保険労務士資格を取得。人事ベンチャーにて勤怠管理システムの導入コンサルティング、大手イベント会社の人事部にて人事制度改革や労務DX推進に携わる。独立後は経験を活かし、IT導入やテレワーク・フレックスタイム制など、社員が働き続けたくなる会社づくりを支援。

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