データで見る食品製造業界のエンゲージメント傾向
まず、食品製造業界のエンゲージメントの傾向を見るにあたって、分析方法と分析結果をお伝えします。
分析方法
本記事では、リンクアンドモチベーションが提供する従業員エンゲージメント向上サービス「モチベーションクラウド」のデータをもとに分析を行います。この調査では、会社基盤や理念戦略などの「全体視点」から、直属上司の情報提供や支援行動、職場の目標共有や変革活動といった「現場視点」まで16領域において、従業員が会社に求める「期待度」と現状の「満足度」のギャップを測定しています。
分析結果
- 食品製造業界全体のエンゲージメントスコア平均は「54.3」で、全国平均を上回り、業界全体としては比較的高い水準にあります
- 他業界と比較して、満足度はほぼすべての領域で全国平均を上回り、特に「会社基盤」「継承活動」の満足度が顕著に高いことが特徴です。一方で、「人的資源」「施設環境」は他業界よりも低く、人手不足感や労働環境に対する課題感が表れています
- 階層別では、20代・30代と若手・中堅は全国平均を大きく上回るのに対し、管理職層は全国平均を下回っており、他業界と比較し、課長層が顕著な課題となっています
- エンゲージメントの高い企業では課長や30代のエンゲージメントが20代と同程度である一方、エンゲージメントの低い企業では課長や30代が最もエンゲージメントが低く、部長や20代と差が生じる傾向がみられました
考察——食品製造業界の課題は「中間管理職(課長層)のエンゲージメントの低さ」
ここで注視すべきは、「中間管理職のエンゲージメントの低さ」です。食品製造業界では、20代から30代、そして課長へと年代・階層が上がるにつれてスコアが下がり、課長層は業界内で最もスコアが低いだけでなく、全国平均を下回っています。本来、現場と経営をつなぎ、会社を牽引する立場である課長と会社の信頼関係が低下しているのです。また、ハイ・ロー分析でエンゲージメントの高い企業と低い企業の差が最も大きい層も課長層と30代であり、20代では差が小さい傾向がみられました。エンゲージメントに課題のある企業では、中間管理職がボトルネックとなりやすいことがわかります。
業界全体におけるエンゲージメントとの相関性の高い項目を見ると、その背景が浮き彫りになります。
最も相関性の高い項目が「期待を上回る提案・対応」、続いて「メンバーの目標達成意欲」「階層間の意思疎通」「顧客意見に基づく改善」となっています。要するに、「顧客の期待に応えられていること」「現場のチームに勝ち癖と熱量があること」「階層をまたいだ意思疎通ができていること」「顧客の声を起点に組織が改善していること」が、エンゲージメントを大きく左右しているのです。
一方、課長層の相関の高い上位項目には「戦略目標の発信と伝達」「経営陣に対する信頼」「自社の戦略や方針の伝達」が並びます。本来、経営層からのメッセージを翻訳して現場に接続する立場である課長の、戦略への信頼と納得が不十分なことが、組織全体のエンゲージメントを押し下げていることがわかります。

