前回は、従業員のコンディションやエンゲージメントといった状態を見るだけでなく、その背景にあるオンボーディングのプロセスに目を向けることの重要性について解説しました。しかし、いざオンボーディングをプロセスとして捉えようとしても、「何をどう見ればいいのか」が分からなければ先に進めません。入社後・異動後の「立ち上がりが遅い」「組織に馴染めていない」といった状態も、背景にある課題は人によってまちまちです。そこで今回は、オンボーディングの適応プロセスを可視化・分析するために、その構成要素を分解して考えてみます。
オンボーディングを分析可能な状態にする
一口に「オンボーディングがうまくいっていない」といっても、その状態にはさまざまなケースがあります。
たとえば、業務内容は十分に理解できており、遂行に必要な能力は持ち合わせているものの、その会社独自の仕事の進め方に戸惑っていて成果を出せない、ということがあります。
一方で、業務には十分慣れているにもかかわらず、周囲との関係構築に苦労している、といったこともあるでしょう。
どちらも「立ち上がりが遅い」という見え方は同じですが、課題の中身が全く違います。
オンボーディングとは、新しい環境で成果を発揮できる状態になるまでの適応プロセスであるため、単純な結果として「うまくいっている」「うまくいっていない」と判別するものではありません。ましてや、決められた研修を受講したらオンボーディング完了、なんてこともありません。
なお、オンボーディングというとキャリア採用者が真っ先に頭に思い浮かぶかもしれませんが、社内異動や昇進など、社内で新しい役割に就いた場合にも同様の適応プロセスが必要になります。
こういったオンボーディングを分析するためには、まず適応プロセスを構成する要素に分解して考える必要があります。
ここでは、オンボーディング研究で提案されている考え方も参考にしながら、オンボーディングを次の視点で整理します。
- Skill(業務遂行能力)
- Process(業務プロセス理解)
- Culture(文化理解)
- Network(関係性構築)
Skillには、単に成果を出すための能力があるかだけでなく、期待される役割を理解し、業務遂行できる状態になっているかも含まれます。Processは、その組織特有の仕事の進め方やルールを理解できているか、Cultureは組織の価値観や行動規範に適応できているか、Networkは周囲との関係性を構築できているかを表します。
この整理はT. N. Bauerらが提唱する4CモデルにおけるClarification(役割理解)、Compliance(ルール理解)、Culture(文化理解)、Connection(関係性構築)とも対応しています。ここではピープルアナリティクスの観点から扱いやすいように、役割理解と業務遂行能力を合わせて「Skill」として整理してみました。
では、この4つの視点をもとにオンボーディングを考えていきましょう。
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- この記事の著者
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友部 博教(トモベ ヒロノリ)
東京大学大学院で博士号を取得後、東大、名古屋大、産総研などでコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、アプリゲーム分析およびマーケティング分析などの部署を統括、その後ピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。現在はビズリーチ WorkTech研究所 ...
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