オンボーディングを構成する4つの要素
ここから、Skill、Process、Culture、Networkの各視点について見ていきます。
Skill(業務遂行能力)
Skillとは、新しい環境で期待される役割を理解し、その役割を遂行するために必要な知識や能力を身に付けている状態のことを指します。
分かりやすい例だと、職種の変更を伴う異動があります。営業職から事業企画職へ異動した場合、これまでとは異なる知識やスキルが求められます。
また、キャリア採用者の場合でも、前職とは異なる事業や顧客、商材を理解せねば成果を出せません。
このSkillは、期待される役割を理解し、必要な能力を身に付けることなので、オンボーディングの基礎となる要素です。
ピープルアナリティクスの観点では、次のデータなどを用いて可視化・測定します。
- 目標達成率
- 上司評価
- 自己評価
- スキルアセスメント
Process(業務プロセス理解)
Processとは、その組織特有の仕事の進め方やルールを理解できている状態のことを指します。
どんな組織でも、承認フローや会議運営、情報共有の体制など、独自の業務プロセスが存在します。どのツールでコミュニケーションするのか、どのような承認フローで意思決定が行われるのか、分からないことをどこに問い合わせればよいのか。こういったことは、組織によって大きく変わります。たとえ業務経験が豊富な人であっても、こうした進め方が分からなければ十分に力を発揮できません。
特にキャリア採用者にとっては、業務そのものよりもこういったプロセスのほうが壁になることもあります。
Processへの適応状況を把握するためには、次のデータが参考になります。
- オンボーディング研修の進捗
- 必須トレーニングの受講状況
- 業務システムの利用状況
Culture(文化理解)
Cultureとは、組織の価値観や行動規範を理解し、それに適応できている状態です。
Processでは明確なルールの理解状態を見ていましたが、Cultureでは明文化されづらい文化を対象とします。組織には理念や行動指針のように明文化されたものだけでなく、「どのような行動が評価されるのか」といった暗黙のルールが存在するためです。
能力や経験が十分であっても、こうした組織文化とのミスマッチによって周囲との摩擦が生じてしまうケースもあります。
組織文化、というと直接観測が難しいことが多いですが、主に次のようなサーベイデータにより把握することが多いです。
- パルスサーベイ
- バリュー浸透度調査
- エンゲージメントサーベイ
Network(関係性構築)
Networkとは、業務を進めるうえで必要な人間関係や社内ネットワークを築けている状態を指します。
新しい環境では、「誰に相談すればよいのか」「どの部署と連携すればよいのか」など、コミュニケーション面で分からないことが少なくありません。
困ったときに頼れる相手が社内にいるかどうか、相談できる相手がいるかどうかは、立ち上がりの速度や定着に大きく影響します。
ネットワークの状況を把握するためには、次のデータが参考になります。
- 1on1の稼働状況
- 業務上の接点人数・接点数
- メンターとの面談回数
- 組織ネットワーク分析
このように、オンボーディングは単一の状態ではなく、複数の要素から構成されています。そして、要素ごとに分解することで、それぞれの状況を可視化することができます。

