「内製化」「個人別対応」「継続フォロー」を実現するAI
研修を経験学習化させる3つのポイントを紹介しましたが、これらを実践するには、①自分事化しやすく実務に直結するコンテンツをつくるための「内製化」、②自律的な学びを促すために1人ひとりの学習に伴走する「個人別チューター」、③研修の世界と実務の世界とつなぐ「ナレッジハブ」の3つが必要となります。
かつては、研修担当者のリソースに限界があり、これらは理想論に過ぎませんでした。しかし、昨今のテクノロジーの進化により、AIがコンテンツの内製化をサポートし、個人の特性に合わせたAIチューターの役割を担い、社内情報を一元化するナレッジハブを提供できるようになりました。これらはいま、新たな「ラーニングスタンダード」となりつつあります。
また、グローバル先進企業ではCLO(チーフラーニングオフィサー:最高学習責任者)を設置することがあります。彼らは研修を「人材の成長を促進する重要な手段」と位置付け、成長機会の提供や効率的な学習転移を戦略的に推進しています。特に近年は、前述のようにAIを活用した新たな学習アプローチが登場しているため、CLOが主導となって学習体験を最大化するための変革に取り組んでいます。
一方、日本企業に目を向けると、長年続く伝統的な階層別研修カリキュラムや、年間の研修スケジュールを「予定どおりに回すこと」に重きを置いている研修部門も少なくありません。そうした現場での成功指標は、「スケジュールどおりに実施できたか」「受講率は高いか」といったプロセスの遂行に偏りがちです。その結果、本来の目的であるはずの「人材の成長」については、受講者任せになっていることも多くあります。
新たなラーニングスタンダードが確立されつつある今こそ、日本企業はこれまでの研修のあり方を見つめ直す大きな転換期を迎えているのではないでしょうか。
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今回は、実施されて当たり前でありながら、人材育成における重要性認識が低い「研修」に焦点を当て、グローバル先進企業におけるAI時代の新しい学習アプローチをご紹介しました。
人材育成において「経験7割、薫陶2割、研修1割」という法則は定説として広く支持されています。しかし、学習者に学びを自分事化され、自律性をかき立て、いつでも引き出せる知識とすることにより、その1割の「研修」が「経験」や「薫陶」の効果を生み出すことも可能です。HRモダナイゼーション推進の参考にしていただけると幸いです。

