将来の組織像から逆算して約800種類のスキルを定義
鈴木 御社のスキル型人事制度につきまして、具体的に教えてくださいますか。
井口 当社のスキル型人事制度の最大の特徴は、「現在のポストやポジションでどういうスキルが必要か」ではなく、少し先を見て「5年後にこの部門は一体どういう機能を発揮する組織でありたいのか」「そのためにそこにはどんな人財が必要になるのか」「その人財はどういうスキルを持っていることが期待されるのか」という順番で必要なスキルを定義している点です。

鈴木 将来の組織像から逆算してスキルを定義していくのですね。その膨大な定義はどのように作成されたのですか。
井口 各部門に「スキルオーナー」という責任者を置き、自部門のあるべき姿と望ましい人財像、必要なスキルを言語化してもらいました。これを「職務スキル」と呼んでいます。職務スキルは部門ごとに異なるため、全社で約800種類に及びます。また、これとは別に全社員共通の「共通スキル」も定義しています。これは当社のミッション・ビジョン・バリューにおける「5つのバリュー(行動指針)」と直接ひも付いており、各項目2つずつ、計10項目のスキルを定義しています。
鈴木 約800種類もの職務スキルを現場主導で定義されたというのは驚異的です。そこまで取り組めた理由は何でしょうか。
井口 損害保険業界において、近年続発した不祥事に対する強い反省と危機感が大きなきっかけです。信頼回復を果たし、お客さまと社会に新たな価値を提供するためには、従来の仕事のやり方を根本から変えなければならない。この危機感とお客さま、社会に対する責任が取り組みのエネルギーとなりました。
鈴木 なるほど。スキル定義は今後どのように運用されていくのでしょうか。

井口 職務スキルは毎年見直しを行います。ただし、事業環境の変化が激しい時期は大幅な改定を行い、環境が安定している時期はマイナーチェンジにとどめるなど、見直しの程度は状況に応じます。また、従来のように「人事部が制度や定義をすべてつくる」のではなく、各部門のスキルオーナーが自分たちの組織の未来を考え、自らスキルをアップデートしていく仕組みへと移行しました。
鈴木 スキル定義はいま、どの程度現場で活用されているのでしょうか。
井口 スキル型人事制度は開始してからまだ1年半ほどで、現時点でできていることは、上司と部下がスキルをもとに対話を重ね、人財育成の中でスキルを活用するところまでです。スキル評価についてはいまデータを蓄積している最中で、データが蓄積されたら、すべてのポジションをスキルベースで決めるようにしたい。さらに、異動や昇進の場面にも本格的にスキル評価を組み込みたいと考えています。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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