スキル型人事制度は2027年の合併もスムーズにする
鈴木 スキル型人事制度と公募制度の掛け合わせによって、個人の自律と組織の活性化が同時に進んでいることがよく分かります。ここで未来の展望についてもお伺いしたいのですが、2027年4月に予定されているあいおいニッセイ同和損保との合併に向け、この人事制度はどのように引き継がれていくのでしょうか。
井口 新会社においても、スキル型人事制度を全面的に採用することが両社間で合意されています。三井住友海上では導入から1年半が経過していますが、あいおいニッセイ同和損保側でも同制度に慣れるためのトライアルとして、今年4月からスキルをベースとした人財育成や行動評価に取り組んでいただいています。
鈴木 合併に先立って、すでに現場レベルでのトライアルが進んでいるのですね。
井口 はい。合併のタイミングでは、三井住友海上側が2年、あいおいニッセイ同和損保側が1年の経験値を積んだ状態で、両社が共通のスキル型人事制度へと合流することになります。
新会社において、どちらか一方の旧来の制度に合わせる形になると、出身会社による不公平感や不安が生じかねません。しかし、スキル型人事制度は当社にとってもまだ十分こなれていない新しい仕組みです。そのため、「どちらかの人事制度に合わせる」という形ではなく、新しくつくった人事制度に両社で合流するという形が取れるタイミングになりました。出身会社に関係なく、スキルだけを見て適正に人事考課を行えるため、合併後に透明性のある人事運営ができると期待しています。
鈴木 合併を成功させるうえでも、スキル型人事制度が強力な基盤として機能しているわけですね。最後に、持続的な企業成長に向けて、今後人事部門が果たすべきミッションや展望についてお聞かせください。
井口 従来の管理部門の色合いが強い人事部門から脱却し、経営戦略を深く理解したうえで、戦略実現に必要な人財ポートフォリオの実現を主導・支援する存在にならなければならないと考えています。具体的には、「人財獲得」「リスキリング」「エンゲージメント向上」の3つの柱を軸として、人財ポートフォリオと経営戦略とのギャップ、ありたい人財と現実の人財とのギャップを埋めていくことが不可欠です。
鈴木 経営戦略と人事戦略を高度に同期させていくということですね。
井口 はい。そのためには、事業部門と人事をつなぐ「HRBP」の機能をいかに強化していくかがカギとなります。HRBPが人事側に所属すべきか事業部門側に所属すべきかは会社の特性に応じて進めることになりますが、従来の管理部門的な人事の仕事だけでは経営の期待に応えられないと感じています。そして、これらすべての施策を支える基盤として、タレントデータを可視化・定量化する「HRDX」を推進することが必須だと考えています。
鈴木 スキル型人事制度を中核として、採用、育成、配置、統合、そしてHRDXまでが1本の軸でつながっている非常に濃密なお話を伺えました。本日は誠にありがとうございました。

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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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