自律した組織づくりに向けた3つの人事制度
次に加留部氏は、自律した組織づくりに向けてマネジメントレベルを担保するために大切な、「目標設定・管理」「1on1」「フィードバック・評価」の3つの人事制度を紹介した。「1対1のコミュニケーション機会としてこの3つのイベントを組織に落とし込み、人に向き合い伴走するマネジメントの実行を担保することが重要です」。
その際、メンバー一人ひとりが自律的に行動できるようにするためのポイントは、次の2つだ。
- ①会社の目標や戦略の背景をきちんと説明し、理解を深める
- そのために目標設定のプロセスを変更し、一人ひとりが目指すべきゴールを明確化する。
- ②高頻度の対話(投げかけ)により、自律性・自発性を引き出す
- そのために1on1を導入して対話を増やす。目標達成のためのサポートやフィードバックの頻度を増やす。
では、これらの人事制度をテレワークに合わせて最適化していくためには、どうすればよいのだろうか。それぞれ見ていこう。
テレワーク時代における「目標設定・管理」のポイント
- 会社やチームの目標の背景や根拠を、メンバーが正しく理解できているか
- 個人目標が、会社やチームの方向性と一致しているか
- 目標達成に向けたハードルを解除するサポートが生まれる仕組みがあるか
「目標が“お飾り”になってしまわないためには、これまで以上に目標を意識する頻度を増やし、都度、活動の修正をしていく必要がある。そのために、マネージャーと部下のコミュニケーションの仕組みを用意しておくことが、とても重要なポイントになってきます」(加留部氏)
テレワーク時代における「1on1」のポイント
- 1on1運用の目的が、テレワーク時代に即したものになっているか
- 頻度や時間の長さは最適か(従来よりも多めに)
- 遠隔での1on1に適したツールを導入できているか
「オンラインの1on1では、最近のよかった話など、雑談からスタートすることをお勧めしています。『シャッフル雑談1on1』といった形で、いつもと違うペアで対話するのも効果的です」(加留部氏)
テレワーク時代における「フィードバック・評価」のポイント
- 印象論ではなく、事実情報に基づいた、根拠のあるフィードバックができているか
- テレワークでも、事実情報を収集する仕組みがあるか
- 頻度は十分か、また多面的なフィードバックができているか
「評価面談がうまくいっていない企業では、事実情報を収集する仕組みがないケースが散見されます。評価する側も人間なので、何か月も前に他の人が何をしていたかなんて、覚えていられません。多面的な事実情報の収集のために『360度フィードバック』や『マネージャー向けフィードバック』を取り入れると、普段からダイジェストでその人の動きが分かるようになるので、とても評価しやすくなるはずです」(加留部氏)
RELATIONSでは、コロナ禍の新しい施策として、「1on1の頻度アップ(週1)」「日報の詳細化によるアウトプットの可視化」「全社会議(オンライン)を毎週開催。その際、少人数での雑談セッションも毎回行う」「コミュニケーションツールの追加導入」を行っているという。