難民・移民のスキルを活用して地方創生に取り組むDiscover Deep Japanは、中核的価値である「多様性、包摂性、帰属」の促進のため、ブラインド採用を導入したことを発表した。
日本では、海外からやって来た優秀なグローバル人材が、多言語を扱う能力や専門的技術を活かせないまま、労働市場から排除される傾向がある。同社はこのような雇用機会の不均等を是正すべく、難民や移民を起用したデジタルマーケティング事業を展開しているが、今般、自社職員の採用活動においてブラインド採用を導入したという。
ブラインド採用とは、履歴書から候補者の名前や性別、年齢などの個人情報を取り除き、能力や実績だけに基づいて候補者の評価を行う採用手法。誰しも、性別や年齢、そして名前から推測される民族的・宗教的バックグラウンドなどに対して、無意識に先入観や偏見を抱いている可能性がある。ブラインド採用は、こうした無意識のバイアスを取り除くことで、全ての候補者が同じ土俵で公平に評価されることを可能にし、多様性の促進に貢献する。
ブラインド採用に関して、米ハーバード大学が、ボストン交響楽団が導入したブラインド審査についての研究結果を公表している。これによると、候補者が演奏する際に審査員から姿が見えないよう、間についたてを置くなどの措置により、女性候補者の採用率が劇的に向上したという。候補者の姿を隠すことで性別に基づくバイアスを取り除くことに成功し、女性がより公平な評価を得られる結果となった。
マッキンゼー・アンド・カンパニーが2020年に公表した「多様性の勝利(Diversity wins)」という報告書では、より多様性のある企業は、そうでない企業よりも業績が良いという調査結果が示されている。さらに、多様性や包摂性を実現している企業の方が、適切で大胆な意思決定をするという傾向も指摘されている。
新型コロナウィルス感染症の大流行で世界中の企業が打撃を受けている今こそ、多様性や包摂性を重視した強靭な組織づくりが求められていると、同社は考えたという。より包摂的な世界を作り出すことを目指すソーシャルスタートアップである同社は、中核的価値の筆頭に「多様性、包摂性、帰属」を掲げている。この価値を体現するブラインド採用の導入により、まず自社の採用活動において、多様性を促進する公平な組織づくりを実践。同社は、こうした取り組みを通して、不確実性の高い今日の社会において多様性や包摂性が組織や社会にもたらしうる価値を示し、ポストコロナ時代に求められる社会変革を先導することを目指していく。