コーチングによる効果的な開発プロセス
それでは、リーダーシップ開発において、コーチングをどのように取り入れていくのがよいのだろうか。大塚氏は、次図を用いて個別最適化されたリーダーシップ開発のプロセスを紹介した。
「主に『内省』『目標設定』『振り返り』の段階にてコーチングを実施します。一見簡単に思える『目標設定』ですが、実はなかなか難しいものです。とくに、リーダーシップのようなソフトスキルの目標設定に多くの人たちは慣れていません。コーチが伴走しサポートすることで、リーダーとしての行動が明確になり、次のアクションへとつながりやすくなります」(大塚氏)
また、コーチングには研修などでインプットした知識を定着させる効果もあるという。
「一般的に、新しい知識を学んだ際、1週間後にはおよそ4分の3を忘れてしまうといわれています。そこで、コーチとともに自己学習と実践を繰り返すことで、学びを定着させ、成長速度を高められるのです」(大塚氏)
リーダーシップ開発で最も効果が高いのがコーチング
では、コーチングを導入している企業は、その効果を実感しているのだろうか。CoachHubでは昨年、日本国内の人事担当者や責任者を対象に、コーチングを含むリーダーシップ開発の育成施策についてアンケートを実施したという。
「アンケート調査の結果、リーダーシップ開発および育成施策の中でも『コーチング』が最も効果がある施策として高い評価を得ていることが分かりました。部長クラス、課長クラス、新任管理職クラスを含む管理職全体において、『コーチング』の効果は際立っています」(大塚氏)
さらに科学的なエビデンスからもコーチングの効果は見て取れるという。
「次図は、ある海外の研究機関が提供しているデータです。目標達成に向けた効果を検証するために、『外部のプロフェッショナルによるコーチ』『社員同士で行うピア・コーチ』『コーチングをまったく行わないグループ』の3つのグループを比較しました。その結果、プロフェッショナルのコーチを受けたグループが目標達成に向けて最も高い進捗を示しています。こうした調査結果からも、組織のリーダーシップ開発におけるコーチングの効果が分かります」(大塚氏)