個々に対してタイミングを踏まえ、効果的に働きかけを行って早期戦力化を図る
最後に、新卒新人のオンボーディングの3ステップを紹介します。この3ステップは基本的には全員共通と考えて問題ないでしょう。

第1ステップでは、新人たちに「意図的に用意されたサイクル」を回してもらいます。周囲が仕事の環境や手順を用意し、そのサイクルで仕事をしてもらうのです。そして、周囲が彼らの小さな成功・失敗や出来事を意識的に意味付け、やる気スイッチを押していきます。
このとき、自己変革重視か自分らしさ重視か、どのモチベーション・リソースを重視するのかなど、1人ひとりの違いに注目しながら、意味付けをしたり、やる気スイッチを押したりすることが極めて大事です。これにはさまざまなコミュニケーションが考えられるはずです。1つの仕事も、10のモチベーション・リソースによって切り口を変えて語ることができます。たとえば、「注目」を大事にしたいタイプには、皆が事あるごとに関心を示し、タイミングよく支援をしたりすると効果的でしょう。「貢献」が大事なタイプであれば、自身の仕事がお客さんに対する価値や、社会に対する貢献にどうつながっているかを繰り返し伝えてあげるのが効果的です。
また、自己変革重視か、自分らしさ重視かによっても、まず何から取り組んで自身の成長につなげていくのか、その取り組み方も変えていくとよいでしょう
第2ステップでは、周囲の力を借りながら「自分らしく働く経験サイクル」を回して積み重ねてもらいます。新人たちが周囲の助けを得ながら、自分なりに職務を果たす段階です。周囲は積極的に関わり、タイミング良く言葉をかけていくことが大切です。また第1ステップと同様に、周囲が成功・失敗・出来事の意味付けをしたり、やる気スイッチを押したりして、経験サイクルのスピードと回転数を増やせるとよいと思います。
第3ステップは、いよいよ「自分らしく働く経験サイクル」を主体的に回す段階です。周囲は見守りながら、いざというときには支援します。ここまで来ると、新人たちは自分で意味付けしたり、やる気スイッチを押したりできるようになってきます。こうして、新人は徐々に独り立ちしていきます。
この3ステップを通じて、個々にタイミングを踏まえた効果的に働きかけを行えば、新卒新人の早期戦力化を図ることができるでしょう。ぜひ実践してみてください。