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HRzine Day 2026 Winter セッションレポート | #3

その人材データは「意思決定」の場で使われているか?——良品計画が挑むタレントマネジメントの姿とは

井上奈美香(HRzine編集部)[著] / 北浦 汐見[写]

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 タレントマネジメントシステムを導入したものの、現場で活用されず、意思決定がこれまでの勘や経験に頼ったままの企業は少なくない。システムは整備され、データも蓄積されているにもかかわらず、なぜこのような事態が起こるのだろうか。7月に開催された「HRzine Day 2026 Summer」では、株式会社良品計画にて人事部の人事データ・テクノロジー活用を統括する穴沢真基氏が登壇。「良品計画の“経営戦略から逆算する”タレントマネジメント〜意思決定の進化、現場・人事部の変革への挑戦~」と題し、経営戦略とタレントマネジメントをつなぎ、組織の意思決定を進化させるための実践的な仕組みが共有された。

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タレントマネジメントは“戦略を実行するため”にある

 無印良品を中心に製造小売業を展開し、日本を含む28地域で事業を行っている良品計画。店舗数は1400店舗以上、グループ従業員数は約2万8000名にのぼる。

 「グローバルで共通した理念を持ちつつも、地域に根ざしたビジネスモデルを確立し、みなさまの『感じ良い暮らしと社会』の実現に貢献していきたいと考えています。そのために重要なことは、現場で働く1人ひとりが地域やお客様に向き合って価値を生むことです」(穴沢氏)

穴沢 真基氏

穴沢 真基(あなざわ まさき)氏

株式会社良品計画 人事部

2003年金融系SIerに入社し、資産運用系のシステム開発を担当。2007年アフラック(現アフラック生命保険株式会社)に入社。IT部門、米国駐在を経験し、2020年より人事部にて人事領域におけるテクノロジー活用に従事。2024年11月より株式会社良品計画に入社し、現在に至る。

 そのために同社は「8つの成長ドライバー」を設定している。出店拡大、日本のオペレーションの波及、商品開発体制の強化、OMOの強化、マーケティング戦略、生産性改善とサプライチェーンマネジメント改革、ITによる支援、そして本業としてのESGだ。

 これらが単なる機能別の施策ではなく、1つひとつの戦略がつながっている必要があると穴沢氏は語る。そして、これらの経営戦略を現場で実行していくうえで重要なのが、人材と組織の力だ。

 「次図が良品計画の経営戦略における人財戦略の位置づけです。当社では、ESG経営において4つの重要課題を設定しており、その中の1つに『多様な個人一人ひとりが主役となる企業活動の実現』を挙げています。これが良品計画における人財戦略の中核です」(穴沢氏)

※2026年3月に新たに5つの重要課題に制定
※2026年3月に新たに5つの重要課題に制定
[画像クリックで拡大表示]

 人財戦略には3つの重点取り組みがある。1つ目が「8つの成長ドライバーを実現するための人財戦略」、2つ目が「従業員一人ひとりのスキル向上とキャリア開発」、3つ目が「組織風土と従業員エンゲージメントの改善」だ。そしてこれらの人財戦略を、経営から現場まで一貫して実行するための仕組みとしてタレントマネジメントがある。

 「制度を整えることはもちろん重要です。ただ一方で、気がつくと制度の設計や運用自体が目的になってしまう瞬間もあるのではないでしょうか。制度はある、仕組みも整っている、でも現場の意思決定や行動はあまり変わっていない、この状態では、やはり人財戦略はなかなか実行できません」(穴沢氏)

 システムエンジニアからキャリアをスタートし、前職ではIT部門のプロジェクトマネージャーや米国駐在を経験したのち、人事部に異動してHRテクノロジーの活用を進めてきた穴沢氏。「人事は、管理機能であると同時に、戦略を現場で動かす機能になっていく必要があるのではないか」と述べ、そのためにはシステムを導入するだけでなく、現場や経営の意思決定を変える領域に踏み込むことが求められていると語った。

 「行き先を決めるハンドルが意思決定で、その意思決定を継続的に支えるエンジンがタレントマネジメントとすると、どれだけ素晴らしいエンジンを積んでいても方向を間違えては目的地にはたどり着きませんし、どれだけ正しい行き先にハンドルを向けていても、エンジンが効果的に動かなければいつまでも目的地にはたどり着けません」(穴沢氏)

 では、良品計画は「戦略を実行するためのタレントマネジメント」をどう実践しているのだろうか。

次のページ
タレントマネジメントの第一歩「人事が自分の言葉で語れるようになる」

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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