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HRzine Day 2026 Winter セッションレポート | #3

その人材データは「意思決定」の場で使われているか?——良品計画が挑むタレントマネジメントの姿とは

井上奈美香(HRzine編集部)[著] / 北浦 汐見[写]

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タレントマネジメントの第一歩「人事が自分の言葉で語れるようになる」

 穴沢氏は、タレントマネジメントを機能させるためには3つのステップで推進していくことが重要だと述べた。1つ目は人事戦略を「自分ごと化」すること、2つ目は「データドリブン化」すること、3つ目は「変革の加速」である。

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 最初のステップである「自分ごと化」を実現するために、良品計画では人事部内で「つながるワークショップ」を実施している。

 「みなさまの組織でも、いつの間にか一部の担当者やチームに業務が依存してしまい、施策をやること自体が目的になってしまったり、ゴールを達成しても目的が果たせなかったりといったケースはないでしょうか。そこで当社では、人事戦略と自分の業務が接続し、行動が変わる状態をつくることが大切だと考えました」(穴沢氏)

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 つながるワークショップのポイントは3つだ。

 1つ目は、戦略とつなげること。人事戦略をただ聞いて終わるのではなく、自分はこの戦略に対してどの業務で貢献しているのか、今の業務はどの戦略実行につながるのかを考えることが大事だという。

 2つ目が、言語化すること。穴沢氏は、「戦略は暗記するものではない」と指摘。自分の言葉で語れるようになり、人事戦略を自分の担当業務の言葉に置き換える。このプロセスを通じて、人事戦略を腹落ちさせられる。

 そして3つ目が、次の行動をセットで考えていくこと。誰と何をいつまでにやるのかその場で考え、そして意思決定する。

 「タレントマネジメントの第一歩は、システムを使うことではなく、人事が自分の仕事として人事戦略を語れる状態をつくることだと考えています」(穴沢氏)

 なお、自分や自分のチームだけでは解決できないような課題には、部内で横断型のチームをつくることもあるという。

組織といっしょに成長する、意思決定のための「HRダッシュボード」

 自分ごと化が進んで人が動き始めたとしても、判断材料が経験や感覚に依存したままでは再現性が生まれない。また、人事部がデータ抽出の依頼に追われ、本来の課題解決に時間を割けなくなるという問題も少なくない。そこで取り組みたいのが、2つ目のステップ「データドリブン化」だ。

 「当社もかつては人事がデータ加工の業務に追われていました。そこで、“必要な人が必要なときに同じデータで議論できる”状態をつくるために、『HRダッシュボード』を構築しました」(穴沢氏)

 HRダッシュボードとは、人員構成や人件費、スキル、キャリア、労務管理、エンゲージメントといった人材データを、役員から管理職、店長までが必要に応じて見られるようにしたものだ。

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 構築にあたって穴沢氏が重視したのは、データの優先順位づけであった。

 「人事システムをつくる側の立場だと、『すべてのデータをいつでも見られるようにしておけばよい』と考えがちです。しかし、人材データを日常の意思決定に組み込めるようにするには、戦略実現に必要な指標の優先順位をつけて、段階的に可視化していくことが大切です」(穴沢氏)

 組織の状態を見て可視化するデータを決め、組織の状況や課題を把握してみる。しばらく運用すると既存の指標では足りなくなるため、新しいデータを可視化する。このように、組織とダッシュボードが一緒に成長していくような構築・運用を心がけたという。

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 さらに穴沢氏は、ダッシュボードを機能させるためには、「何を見せるか」「どこに置くか」「どう使うか」という視点も必要だと語る。

 「何を見せるか」とは、組織の課題や施策の効果がわかる情報に絞るということだ。また、「どこに置くか」というポイントも大事だという。

 「人材データだけを見るための専門のシステムを用意しても、ユーザーはなかなか見てくれません。そのため、売上データや経営ダッシュボードのような、普段から使う環境に置いておいて、ふと『じゃあ人の情報ってどういう状況なんだろう』と思ったときに気軽に見に行ける環境をつくる。これは重要なキーサクセスファクターなのではないかと思っております」(穴沢氏)

 「どう使うか」も重要だ。データの見える化で終わらせずに、意思決定の材料として人材データが活用されるようになるまで人事が責任を持つ。そこで初めて再現性あるタレントマネジメントへ進化していき、HRダッシュボードの狙いが達成されたといえる。

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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