外部人材活用の広がりと企業へのメリット
厚生労働省は、2020年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン PDF」を改訂し、企業も働く人も安心して副業・兼業を行うことができるようルールを明確化した。また、当社が2020年に実施した調査では、コロナ禍におけるリモートワークの浸透により、すき間時間の活用が進んだという結果も出ており、空いた時間で副業・兼業にチャレンジする人も増えた。
一方、企業では正社員の採用難や人手不足が深刻化している。人手不足に陥っている企業の割合は正社員で5割、非正社員で3割に迫り、コロナ後最大となった(日本経済新聞 2022年9月26日より)。さらに、社員に求めるスキルや知識が多様化し、自社社員の経験だけでは課題解決が難しくなってきている。
こうした変化に対応するため、社外から得た知見や外部人材を活用することでスピーディーな事業成長を試みる動きがある。オンラインでのコミュニケーションが一般化し、時間と場所を超えて業務を依頼・遂行できるようになったことも、外部人材を活用する後押しになったといえるだろう。
では、知見を持つ外部人材の受け入れにはどのようなメリットがあるのか。
まずは、優秀な人材を確保しやすい点が挙げられる。優秀な人材を正社員などで採用しようとしても、年収レンジが高く自社の給与水準とマッチしないことも多くある。一方で、副業やフリーランスなどの活用であれば、そういった人材の確保が比較的容易だ。IT系領域の最近の傾向として副業や独立する人も多く、そういった人材が持つ高い能力を複数の会社でシェアできる。
また、ピンポイントで必要な知見を持つ人材をアサインできることも大きなメリットだ。例えば、事業開発ではフェーズごとに必要な知識が変わってくることがある。外部人材の場合には、フェーズにあったスキル・知見を持つ人をピンポイントで活用し、変化に適応することができる。
さらに、社員の「リスキリング」でも外部人材は期待できる。社内の優秀な社員の能力を最大限発揮するためには、能力開発のサポートが必要だ。しかし、昨今では自社内に経験者がいない課題に挑戦しなければならない場面も多い。外部人材をその課題を持つ社員のサポーターとしてアサインすることで、外部人材から学び新たなスキル・知見を身に付けられる。課題解決+社員のリスキリングを同時に実現可能なわけだ。