1つの人事データベースに情報を収集する大きなメリット
——人的資本経営におけるSmartHR利用のメリットは何でしょうか。
もともと労務管理業務を効率化するシステムとして始まったSmartHRには、各社それぞれが労務業務を進める中で、自然と従業員の労務に関する情報が集まってきます。実はそれがそのまま“人事データベース”になるんですね。この人事データベースが自然に出来上がることで、人的資本の情報開示に必要なデータを瞬時に取り出せるというのが、一番のメリットだと考えています。
開示が義務付けられている「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」の情報をいざ出そうと思っても、管理職の人数、男性の人数と女性の人数、全従業員の給与データなど、さまざまなデータを収集して整備する必要があります。そうしたデータがすべてSmartHRに入っていることで、わざわざ情報開示のためにデータを集めるという作業が発生しません。
——データをすぐに取り出せるというのは、すごく強いですね。
はい。1つのデータベースで完結しているからこその強みだと思います。よくある企業様の課題に、研修履歴といった育成に関するデータは育成担当のチームが持っている、採用に関するデータは採用担当のチームが持っている、といったようにデータがバラバラに管理されている状況があります。これでは、いざデータを統合して分析したくなっても、すぐには対応できません。
従業員アンケートを取るときでも、回答のたびに、従業員自身で部署や役職を入力してもらっていると、正しい組織体制との整合性を取る作業が発生したり、経年でのデータ集計が非常に煩雑になったりします。人力できれいなデータを維持するのは相当大変なことなので、システムの力でそうした時間や労力を削減できるのは、大きなメリットなのではないでしょうか。
——たしかに。人的資本経営において人事データは情報開示のためではなく、経営戦略・人事戦略を推進するために活用するべきものであり、そのために常にきれいな状態にしておくことは重要ですよね。
そうなんです。「年に1度、有価証券報告書に記載するためだけに人事データが必要だ」と捉えるのは、大きな間違い。目標を定め、それを達成するための指標を定めて、随時進捗を追いかけていく必要がありますから、常にデータ分析ができる状態でないといけません。経営陣から「データを出してくれ」と求められるたびに、データクレンジングの作業が発生していては、必然的に意思決定も遅くなります。
それに、アンケートで浮き彫りになった課題に対する打ち手を考えるなど、社内のことをよく知っている人事の方だからこそできること、やるべきことはもっと他にあると思うんですよね。何か異変があったらそれをすぐにキャッチして対策を打つことのできる環境を整えておく必要もあります。“時すでに遅し”となってからでは、元も子もありません。