ITエンジニア
柳 賢二(やなぎ けんじ)
パーソルキャリア株式会社 人事本部 人事IT推進部 HRDXグループ マネジャー
組み込み業界、小売業界にて就業後、2019年よりパーソルキャリアに入社。エンジニアとしてクラウド移行案件や顧客ID統合案件を担当後、2023年度からHRDXグループのマネジャーとして人事施策に従事。
人事
北野 高英(きたの たかひで)
パーソルキャリア株式会社 人事本部 本部企画グループ マネジャー
パーソルキャリアに新卒で入社。営業を経験したのち人事部に異動し、HRBP・組織人材開発・人事企画の領域を担当。現在は人事部全体のPMOとして各重要施策を推進している。
田中 圭(たなか けい)
パーソルキャリア株式会社 人事本部 人事デザイン部 人事データ推進グループ マネジャー
大学卒業後、不動産会社に入社。人事部門に配属され、主に労務管理・人事評価制度企画/運用・人事諸システム導入/運用などの業務に従事。2020年にパーソルキャリアに入社。現在は、人的資本最大化のため、システムやデータを活用したデータドリブン人事を推進している。
データ基盤を構築した理由とその姿
——なぜパーソルキャリアの人事本部でデータ基盤の構築が始まったのか。
北野 パーソルキャリアの人事本部では現在、社員1人ひとりが多様なキャリアを体現できる会社を目指して、さまざまな取り組みを進めています。
その取り組みの一環として、人事本部が管理しているさまざまな従業員データを組み合わせて分析できる体制を整えています。将来的に、データの分析結果に基づいて個々の従業員にパーソナライズされた人事サービスを提供できる仕組みを持った人事組織を築いていきたいと考えています。
しかし、弊社の場合、人事本部内の各部門がそれぞれ独自でシステム導入を進めてきたため、従業員データが分散してしまっている状況でした。その結果、たとえば経営の意思決定に必要なデータを抽出する際においても時間がかかるなど、データ活用を進めるにはあまりにも非効率な状態でした。
そのため、まずは分散しているデータを一元化することを目的にデータ基盤の構築に踏み切っています。
——今回はどのようなデータ基盤を構築したのか。
柳 今回は次のような構成の基盤を開発しました。
特徴としては次の点が挙げられます。
- 基盤を拡大しやすいようにGCP(Google Cloud Platform)製品で構築したこと
- リアルタイムでデータを参照できるようにデータ仮想化[1]も組み合わせたこと
- データの連携方式を6パターンに標準化し、各システムの特徴ごとに合わせたデータ連携[2]を行えるようにしたこと
- 人事が使うインターフェイス[3]も兼ねてLooker[4](BIツール)を採用したこと
注
[1]: データを物理的にシステムから取り出すことはないが、ユーザーからはあたかも統合されているかのように見せる技術。
[2]: システム間でデータを共有・活用すること。
[3]: ユーザーが直接データを確認するための入出力画面。
[4]: Google Cloudが提供する次世代型のデータプラットフォーム。本記事ではビジネスインテリジェンスツールとしてLookerを扱っている。
今回のデータ基盤の開発においては、データ量がどれくらいになるのかを正確に試算しきることが難しく、また今後データ活用が進んでいくことを仮定した場合に基盤を拡張する可能性がありました。そのため、使用した分だけの費用で済み、かつ拡張性に優れたクラウド製品を中心に構築を進めました。
また、あえてデータ基盤を開発したのは、データの蓄積と管理で適切なものをつくりたかったことがあります。より優れたHRシステムが登場した場合に、その都度ごとにデータをシステム間で移行してしまうと工数がかかってしまいます。しかし、今回のデータ基盤のようにデータの蓄積と管理の機能をシステムと分ければ、システムを変えてもデータそのものは基盤から連携すれば済むため、システムの切り替えが格段に行いやすくなります。