企業の人材戦略の入り口となる「採用」は、人的資本経営の実践やその人材ポートフォリオの構築において、言うまでもなく非常に重要な活動です。しかし、労働人口の減少などがあり、採用はますます難しくなっています。そこでHRzineでは採用に関するアンケートを実施。新卒採用と中途採用それぞれについて、抱えている課題とその理由を尋ねました。本稿では、人事コンサルタントである株式会社人材研究所 代表の曽和利光氏に本アンケートの結果を見てもらい、課題の裏側にある構造的問題とその解決策を伺いました。
本アンケートの結果は、こちらからダウンロードできます。
お話しいただいた方

曽和 利光(そわ としみつ)氏
株式会社人材研究所 代表取締役社長
1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。2011年に株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
新卒採用①:買い手市場の大企業も売り手市場の中小企業も採用手法はスカウトに向かう
——まず新卒採用から伺いたいのですが、アンケートでは「求める人材(質の高い学生)からの応募がない」が27.7%で最も多く、次いで「応募が集まらない・母集団の形成が難しい」が25.5%という結果になっています。この現状をどう捉えていますか。
これは面白い結果ですよね。特に従業員数が5000名を超えるような大きな会社だと、求人倍率は0.3くらいで、ずっと「買い手市場」なんですよ。世の中では売り手市場といわれますが、大企業は常に買い手市場という状況なんです。だから、大手企業にとって「応募が集まらない」という悩みは実は4分の1くらいで、むしろ「求める人物像からの応募がない」という悩みのほうが大きいといえます。
トヨタ自動車やソニーであっても、別にトヨタファン、ソニーファンだけを取りたいわけじゃない。むしろ「トヨタに興味はないけれど」と思っている、たとえば三菱商事に行こうとしているような層も欲しかったりするわけです。絶対的な人気度と、採用担当者が感じている「採用上の人気度」というのは違う、ということだと思うんですね。
——大手企業には十分すぎるほど応募は来ているけれども、欲しい人材からの応募は不足していると。
ただ、そうなってしまうのは、私たちが「オーディション型採用」と呼んでいる、ナビサイトに広告を出して学生側が選んで来るという手法の限界が見えているからです。いくら広告を出しても結局は玉石混交で、応募数が増える分、その後の選考工程にパワーがかかって仕方ない。そうやってパワーをかけているうちに、早期化している市場で、気づかないうちに良い人を他社に取られてしまっている。これがオーディション型の限界です。
一方で、アンケートで「応募が集まらない」と答えているのは、主に中小企業でしょう。300人以下の会社だと求人倍率は8倍とかですからね。
大手企業が「質」を高めるためにも、中小企業が「数」を増やすためにも、これからは自分たちからアプローチする「スカウト型採用」にシフトしていく必要がある。アンケートの結果は、この「スカウトシフト」を裏打ちしているように思いますね。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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