中途採用①:狙うべきは未経験者や第二新卒・アルムナイ・氷河期世代など
——中途採用の話に移ります。アンケートでは「求めるスキル・経験を持つ人材が採用できない」という回答が42.7%と圧倒的でした。
実はいま、新卒採用よりも中途採用のほうが求人倍率が高いのです。日本の現在の失業率は2%台の「完全雇用」レベルです。つまり無職の人がいない雇用状況なので、イス取りゲームみたいにどこかから奪ってこないといけない、というのが中途採用なんです。
今は中途採用が普通になってきたといいますが、それは企業が門戸を開くのが普通になっただけで、働く側のマインドが劇的に変わったわけではないですね。
——なかなか移ってきてくれる人がいない、厳しい市場なんですね。
ええ。でも、本来ならそういう状況であればブルーオーシャンを狙えばいい。たとえば、「未経験者」や「第二新卒」です。3年で辞める人が約35%いる中で、3年分の世代を合わせれば新卒と同じだけの巨大なマーケットが第二新卒にあるはずなんです。
他にも「アルムナイ(元社員)」や「氷河期世代」といったマーケットもあります。みずほ銀行や日立製作所はアルムナイ活動で採用に成果を上げています。
ところが、採用できないと言っている企業は、そういった層を最初から想定外にして、「30歳前後で成果を出せる経験者」という、どこも同じところを狙っている。そんな人材をそうそう採れるわけないじゃないか、というのが私の正直な感想です。
——「提示する給与や待遇が見劣りする」(27.1%)という悩みも深刻なようです。
経験者市場なら当然です。中途人材には相応の価値が付いていますから、活躍している人が報酬を100万円下げて入社するなんてあり得ない。しかし、これだって「未経験者市場」なら解決します。たとえば「人事業務は未経験だけど挑戦してみたい。今の広告営業からキャリアを変えられるなら、給料を下げてでも行きます」という人はいるんです。そうすれば「オファーが見劣りする」なんて問題はなくなる。
中途採用の基本的な姿勢として、「ポテンシャルやポータブルスキルだけ確認して、専門スキルは後から覚えてもらえばよい」いう姿勢で探せば、マーケットは広がるわけです。
——「即戦力」という言葉が落とし穴になっているのでしょうか。
そう思いますね。たとえば「採用のプロ」はいま人気が高すぎて採用できません。でも、証券会社の営業をやっていた人を採用して、採用の勉強をしてもらえばよい。証券営業の「対人能力」や「口説く力」は、採用担当者のポータブルスキルと非常に似ていますから。実際に、それで優れた採用担当者になった事例はいくらでもあります。それなのに、どの企業も「採用経験3年必須」などと言っている。そうなると結局、経験はあっても成果を出せない人を採用することになるんです。
——異業種から「筋の良い人」を見抜いて育てるという発想ですね。
ええ。今はAIが出てきているので、専門スキルの価値は減ってきています。だからこそ、ポータブルスキルで採用するメリットは増大しているのです。専門スキルなんて3ヵ月ほどで十分キャッチアップできます。リクルートでも、営業職に俳優を採用したらたいへんな売上を上げた、といったことがありました。「未経験だけれども、我々の仕事ができる人はどこにいるのだろうか」と想像して、そこにアプローチしていく。専門スキルを後から付け足す「ポテンシャル採用」を優位に進められれば、優れた人材はいくらでも採用できる。これが私の考え方です。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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