「誰から見るか」——認識の“ギャップ”もデータになる
オンボーディングの状態を把握するために本人の認識を確認する手段としては「サーベイ」が有効です。特に、「組織になじめているか」「困ったときの相談相手がいるか」といったCultureやNetworkの状態は、本人に聞かなければ分からない部分が多くあります。
一方で、本人から見た状態だけで、オンボーディングのすべてを把握できるわけではありません。たとえば、Processについて、本人は「1人で仕事を進められるようになった」と感じていても、上長から見るとまだ周囲からサポートが必要な状態である場合もあります。そのため、本人だけでなく、上長から見た立ち上がりの状況も合わせて確認することが有効です。
可能であれば、日常的に一緒に仕事をすることが多い同僚から見た状態も確認します。上長からは見えにくい、日々のコミュニケーションやチーム内での業務推進の状況などを捉えられる可能性があります。
こうした複数の視点から計測することの大きな意味は、単純に情報量を増やすことではありません。本人と周囲の「認識ギャップ」そのものが、オンボーディングの状況を考えるための重要な情報になります。
たとえばProcessについて、「1人で仕事を進められるようになった」に関する本人の自己評価が「4」であるのに対し、上長の評価が「2」だったとします。これを単純に「本人が自分を過大評価している」と判断するべきではありません。期待している役割や「1人でできる」とする基準が十分に共有されていない、あるいは上長からのフィードバックが不足している、といった可能性も考えられます。
反対に、本人が「2」と答え、上長が「4」と答えた場合、上長から見れば十分に仕事を遂行できているにもかかわらず、本人がまだ自信を持てていない可能性があります。このケースでは、新たなスキルを身に付けてもらうよりも、適切なフィードバックを行うことが必要となります。
同様のことはNetworkでも起こり得ます。本人は「チームになじめている」と感じていても、同僚から見ると必要な情報共有や協働する機会が足りていない、ということもあります。逆に、周囲からは問題なくなじんでいるように見えても、本人は「本当に困ったときの相談相手がいない」と感じているかもしれません。
どちらの認識が正しいのかを決めることが目的ではありません。認識のズレがなぜ生じるのかを考えること自体が、オンボーディング上の課題を発見するきっかけになります。
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友部 博教(トモベ ヒロノリ)
東京大学大学院で博士号を取得後、東大、名古屋大、産総研などでコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、アプリゲーム分析およびマーケティング分析などの部署を統括、その後ピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。現在はビズリーチ WorkTech研究所 ...
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