モニタリングの目的は「評価」ではなく「支援」
ここまで、オンボーディングを「時間軸」で継続的に捉え、「Skill」「Process」「Culture」「Network」の4つの視点からデータを集め、本人・上長・同僚といった複数の視点から見る方法(モニタリングの方法)を紹介してきました。
オンボーディングの状況を可視化すると、「誰が順調に立ち上がっているか」「誰の立ち上がりが遅れているか」を評価したくなります。しかし、モニタリングの目的は、新入社員を評価・選別することではありません。順調に立ち上がっていないポイントに気づくためのシグナルとしてデータを活用することです。
たとえば、Networkの指標が入社1ヵ月から3ヵ月にかけて低下しているのであれば、本人との対話を通じて何が起きているのかを確認する必要があるでしょう。Processについて本人と上長の認識に大きなギャップがあるのであれば、期待されている役割や業務の評価基準が共有されているかを確認します。このように、データから仮説を立て、具体的な支援につなげていくことが重要です。
さらに、複数の社員のデータをまとめて分析すると、個人ではなく受け入れる組織側の課題が見えてくることもあります。特定の部署でNetworkの立ち上がりが遅い、特定の職種でProcessの習熟に時間がかかる、といった傾向があるのであれば、個人への支援だけでなく、受け入れ体制やオンボーディングプログラム自体を見直す必要があるでしょう。
オンボーディングのデータは、「誰ができているか」を判断するためのものではなく、「どこに支援が必要なのか」を見つけるために活用するものです。継続的なモニタリングを実際に改善につなげるための重要な視点となります。
オンボーディングを「適応のプロセス」として捉える
今回はオンボーディングをデータで可視化し、継続的にモニタリングする方法について紹介しました。ある時点の状態だけで判断するのではなく、時間軸に沿った「変化」を捉えることが重要です。さらに、「Skill」「Process」「Culture」「Network」の4つの視点に加え、本人・上長・同僚など複数の視点から見ることで、認識のギャップも含めてオンボーディングの状況を把握できます。
ここまで、主に新しく入社した社員を前提としてオンボーディングについて考えてきました。しかし、新しい環境に適応し、そこで成果を発揮できる状態になるまでのプロセスとして考えると、オンボーディングが必要なのは新入社員だけではありません。部署を異動した社員、昇進して新しい役割を担う社員、初めて管理職になった社員なども、新しい環境や役割への適応が必要です。
次回は「オンボーディングは新入社員だけではない」という観点から、対象を広げて考えていきます。
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友部 博教(トモベ ヒロノリ)
東京大学大学院で博士号を取得後、東大、名古屋大、産総研などでコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、アプリゲーム分析およびマーケティング分析などの部署を統括、その後ピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。現在はビズリーチ WorkTech研究所 ...
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