コーチ・エィは、同社のコーチング研究所が実施した、人的資本経営の取り組みに関する調査結果を発表した。
調査の概要は次のとおり。
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査時期:2022年12月20日~12月22日
- 調査対象:社員数50名以上の企業に属する会社員・経営者
- 有効回答者数:651名
人材戦略の取り組みに「成果が出ている」と回答した人は20%以下
人材版伊藤レポートで人的資本経営を実現する人材戦略の共通要素として挙げられている5項目について、自社の取り組み状況を質問した。すべての項目について、約半数のビジネスパーソンが「取り組んでいる」と回答した一方、「成果が出ている」と回答した人は、全体の約14~17%にとどまった。また、経営層の25%前後が各項目において「人材戦略に取り組んでおり、成果が出ている」と回答した一方、同回答をした一般社員層の割合は10%前後となり、経営層と一般社員層の間で人材戦略の取り組み状況の認識にギャップがあることが分かる。
重要だと思う項目も経営層と一般社員で差がみられる
企業価値の向上に向けて、とくにどの項目が自社にとって重要と考えられるか聞いたところ、経営層および管理職層と一般社員層では、必要だと考える項目に違いがあった。
経営層や管理職層は「動的な人材ポートフォリオの策定と運用による適材適所の人材配置」「多様な専門性や経験を持った人材を活かすダイバーシティの実現」を選択する傾向があるのに対し、一般社員層は他の層と比較して「時間や場所にとらわれない働き方を実現する環境づくり」を選択する人が多い結果となった。また、一般社員層の約25%が「どの項目も必要だと思わない」と回答している。
約80%が「経営陣がリーダーシップを変えていく必要がある」と回答
人的資本経営を推進する経営陣のリーダーシップについて、変化の必要性の有無と、どのようなリーダーシップを発揮していく必要があるかを聞いた。全ビジネスパーソンの約80%が「経営陣は、これまで発揮してきたリーダーシップを変えていく必要がある」と回答した。
また、自由回答からは、社員が経営陣から目標や指示を押しつけられていると感じており、一方通行のコミュニケーションを変えてほしいという要望があることが分かる。
- 社員が同じ方向を向いておらず、会社の目標を理解していない
- 主体性や当事者意識に欠け、前例を踏襲することや指示を待つことが根付いてしまっている
- 過去の成功にとらわれていて、変化に対する抵抗がある
- 経営陣の既成概念や古い考え方を現場は強要されていると感じている
- 経営陣と社員の間には距離があり、社員は経営陣のトップダウンに納得できない
- 一方向のコミュニケーションではなく、部下の意見を取り入れることや、現場をもっと理解してほしい
- できるだけ具体的な形で目標や方向性を提示してほしいが、社員の自主性も尊重してほしい
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