「人を動かす難しさ」を熟知する電通が“攻めのHR”を支援 グループ5社横断で挑む企業文化変革
採用にもマーケティングの発想。「人起点」で戦略から実行まで
——7領域の中でも、採用ブランディングはセンター設立以前から取り組んできた領域ですね。
岩邊 はい。電通では2014年からクライアントの採用支援を続けてきました。その後、採用に関するニーズが広がったことを受け、2024年2月に体制を拡充し、「採用ブランディングエキスパート」を立ち上げました。現在はマーケティング領域のメンバーを中心に約30人が在籍し、設立から約2年半で140社以上をご支援しています。
私はもともと電通の人事部門で自社の採用を担当し、西井はプランナーとして電通の採用ブランディングに関わっていました。そうした自社採用で培ってきた知見が、現在のクライアントの採用支援にもつながっています。
岩邊 駿(いわなべ しゅん)氏
株式会社電通 第5マーケティング局 マーケティング・コンサルティング1部 マーケティング・コンサルタント
コーポレート部門にて電通の新卒採用や人財育成を担当後現局。さまざまなクライアントに対して、マーケティング戦略立案や事業開発の支援、HR領域のコンサルティングに従事。企業の採用活動の支援をする電通社内横断のコンサルティングチーム「採用ブランディングエキスパート」を発足。
西井美保子氏(以下、西井) まさに、自社でやってきたことをクライアントに提供している形です。私は今も電通のインターンの設計や運用に関わっているので、採用の現場で得た実感をもとに、クライアントと率直に意見を交わしています。
——多くの競合がいる中で、採用ブランディングを電通に依頼する決め手はどこにあるのでしょうか。
西井 2つあります。1つは、企業のブランディングを支えてきた電通のノウハウを、採用領域に持ち込んでいることです。
企業としてのイメージと、採用で求職者に持ってほしいイメージは、必ずしも同じではありません。たとえば、一般には事業会社として知られていても、採用では「技術力の高い会社として認識してほしい」場合があります。そのギャップを捉え、採用につながるブランドづくりを支援します。
もう1つは、戦略を考えて終わりではなく、実行し、うまくいかなければ見直しながら進められることです。戦略から実行まで伴走できる点を評価いただいています。
——採用ブランディングの戦略や施策を設計するとき、何を起点に考えるべきなのでしょうか。
岩邊 まずはターゲットを正しく理解することです。私たちは毎年、新卒採用、キャリア採用、高校生採用の求職者の意識や価値観を詳細に調査しています。求職者がどんな価値観を持ち、何を重視しているのかを把握したうえで、企業が伝えるべきことや打ち手を考えていきます。
西井 電通のマーケティングでは、こうした考え方を「人起点」と呼んでいます。採用において、企業はどうしても「自社が言いたいこと」から考えてしまいがちです。
さらに、クライアントの採用競合も同業他社とは限りません。電通でいえば、同業界だけでなく、コンサルティング会社や商社など、異なる業界の企業と同じ人材を取り合うこともあります。こうしたターゲットや採用競合まで含めて、マーケティングの考え方で分析し直していきます。
そうすると、自社が「自社ならでは」だと思っていたことが、実はそうではなかったと気づくこともあります。企業のDNAや伝えたいことの核は変えずに、自社ならではの表現にどう変換するかを考えていきます。
西井 美保子(にしい みほこ)氏
株式会社電通 第6マーケティング局 シニア・ブランディング・ディレクター
数々の企業への経営・事業コンサルティングを行いながら、「電通若者研究部 ワカモン」に所属。著書に、「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP)、「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」(共著、宣伝会議)。D&AD、Red Dot Design Award、One Show、キッズデザイン賞など受賞。NPO法人エンカレッジ顧問など社外活動にも従事。
——そうして戦略を立てた後、具体的な施策はどのように選んでいくのでしょうか。
西井 私たちは「打ち手フリー」とよくいっています。特定の施策やサービスを売ることが目的ではないので、KPIやKGIの達成に向けて、その時々で最適な手段を選びます。うまくいかなければ別の施策に変更しますし、場合によってはベンダーを変えるところまでいっしょに考えます。
岩邊 感覚としては、クライアントの「採用担当になる」に近いですね。
西井 KPIが達成できなかったら、いっしょに悩みますから。
——センターができたことで、こうした採用ブランディング支援にも変化は出ていますか。
西井 そうですね。採用の相談から始まっても、「企業ブランドを変えたい」「採用を変えるには、従業員の意識も変えなければならない」と、より根本的な課題が見えてくることがあります。そうしたときに、採用だけで閉じず、「組織人財戦略・人財ビジョン」や「企業文化変革」など他の領域の専門チームと連携することで、課題を一体的に捉え、採用の枠を超えて支援できるようになりました。
岩邊 実際に、人的資本開示で整理した情報を求職者向けのコミュニケーションに活用したり、採用強化のために従業員の自社に対する意識変革まで一貫して考えたりと、ユニットを掛け合わせる案件は増えています。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
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