3本柱は、支え合うことで機能する
ここで、連載の全体を振り返ります。
沈黙の組織を脱するための「フィードバック経営」は、3本の柱で成り立っています。フィードバック文化の醸成(本連載第3回)、VoEサイクルの確立(本連載第4回)、そして経営理念の実装(今回)です。
この3本は、横並びの独立した施策ではありません。3本は互いに支え合っていて、中でも経営理念が他2本を推進させる起点となります。
理念が「何のために声を上げるのか」を指し示す。VoEサイクルが、その声を経営まで届けて返す。フィードバック文化が、日常の対話で気づきを伝え合う。頂点の理念が定まらなければ、何を聞けばよいかも、何を伝え合えばよいかも定まりません。
だからこそ、1つでも欠けると組織はまた沈黙へ戻ります。理念があってもVoEサイクルがなければ、声は経営に届かない。VoEサイクルがあってもフィードバック文化がなければ、そもそも本音が出てこない。3本がそろってはじめて声は回り始めます。
この3本がそろうことの効果は、本連載第2回で紹介した独自調査にも表れていました。3本の柱がいずれも機能していない組織で「心理的安全性が高い」と感じる社員は26%だったのに対し、3本すべてがそろった組織では92%。事業の成長実感も、そろった組織で85%、そろっていない組織で23%と、大きな差がつきました。理念を頂点に3本を回しきった組織は、社員の実感からして別物になります。
そして、この構造は1日で立ち上がることはありません。本連載第2回でお伝えした言葉を、もう一度置いておきます。
「3ヵ月では変わらない、10年もかからない」
即効性を求めてはいけないが、永遠に変わらないわけでもない。3本の柱の確立に粘り強く取り組み続けた組織は、着実に変化を遂げます。
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三村 真宗(ミムラ マサムネ)
株式会社U-ZERO 代表取締役 CEO 兼 CPO
慶應義塾大学卒業後、創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベタープレイス・ジャパン株式会社などを経て、2011年に株式会社コンカーに参画。代表取締役社長として、社員一人ひとりの声を経営に活かす組織づくりを徹...
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