タレントアクイジションの成果指標は定着率とエンゲージメント

鈴木 もう少しタレントアクイジションについて伺いたいのですが、「リファラル採用」で現場を巻き込んでいく際、気をつけていることや意識していることはありますか。
盛永 リファラル採用を導入した当初は、従業員が自社を知人に紹介することに、どの程度前向きになってくれるのかという不安もありました。しかし、会社や働き方が変化し、従業員自身が改めて当社の良さを捉え直す機会も増えています。実際に紹介は広がっており、当社へ転職した方が、さらに前職の知人を紹介してくださるケースも見られます。
その一方で、ご紹介いただいた方が、必ずしも当社の募集ポジションや期待する役割と合致するとは限りません。紹介してくれた従業員と候補者の双方に丁寧に向き合いながらも、選考は公平かつ適切に行う必要があります。この点は、リファラル採用を継続するうえで特に配慮が必要だと感じています。
鈴木 御社では「ジョブリターン制度(アルムナイ採用)」も推進されています。
盛永 転職が一般的な選択肢となる中、一度社外で経験を積んだ方が、当社の良さを改めて認識し、再び働きたいと考えることもあります。当社では、退職したという事実だけで一律に判断するのではなく、退職時の事情や社外で得た経験、現在の募集ポジションとの適合性などを確認したうえで、再入社の可能性を検討しています。確認に一定の実務負担は伴いますが、復職者へのヒアリングから得られる気づきは、職場環境の改善や離職防止、キャリア採用の強化にも生かせると考えています。
鈴木 退職時の関係性や、復職後に定着しそうかという見極めも重要になりますね。リファラル採用やアルムナイ採用などによるタレントアクイジションの成果を、どのような指標で捉えていらっしゃいますか。
盛永 成果を捉える指標の1つは、入社後の定着状況です。ただし、転職が一般的になった現在は、離職率だけで成果を判断することは難しいと考えています。入社した方が能力を発揮し、組織とのつながりや働きがいを感じられているかという、エンゲージメントの観点も合わせて確認することが重要です。

AI時代だからこそ人事に求められる2つの力
鈴木 労働人口が増えていた時代は、募集をかけてオペレーションを回すことが人事の主な実務でしたが、タレントアクイジションを推進するうえでは、人事がオペレーションから脱却する必要があると感じています。これからの人事の役割について、どのように考えていらっしゃいますか。
盛永 人事領域でもAIの活用が進んでいます。AIは情報の整理や候補の提示などを通じて判断を支援する一方、「この人を採用するか」「どの役割を任せるか」といった最終的な意思決定には、人が責任を持つ必要があります。そのため、AIを適切に活用する力と、提示された情報をうのみにせず、多面的に判断する力の双方が、これからの人事には求められると考えています。
もう1つ重要なのは、人とのつながりを築き続ける力です。採用制度や処遇を整えるだけでなく、従業員が尊重され、成長や働きがいを実感できる環境をつくることが、入社後の活躍や定着につながります。候補者や従業員との対話を重ね、関係性を継続的に育てることが、人事の重要な役割だと考えています。
鈴木 エンゲージメントの根幹ですね。本日はありがとうございました。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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