今回お話を聞いた人事はこちら
長谷川 春菜(はせがわ はるな)氏
株式会社ダンクハーツ 管理部長 兼 人事責任者
新卒でゲーム会社にプランナーとして入社し、3年目でコンシューマーゲームやアプリ開発チームのプロジェクトマネージャーに抜擢。その後、会社説明会へ登壇したことをきっかけに人事の仕事へと興味を持ち、人事としてダンクハーツに入社。プロジェクトマネージャー時代の経験を活かして管理体制の構築や採用フローの見える化、プロジェクトアサイン検討時の効率化に着手。現在は管理部長と人事責任者を兼任する。
片桐 哲(かたぎり てつ)氏
インターステラテクノロジズ株式会社 人事総務セクション マネージャー
1990年生まれ山形県出身。2013年にパーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス)に入社し、営業として従事。その後は株式会社MTGの「SIXPAD」ブランドの採用責任者、株式会社EVERINGの設立とOperation Manager、株式会社Libryの採用責任者として従事。2022年7月から現職。
北田 かおり(きただ かおり)氏
SG グループ株式会社 コーポレート部 グループ人事課 主任
2018年に株式会社サウンズグッドに入社。メディカル事業部で派遣スタッフの採用業務を一通り経験後、SGグループ株式会社のグループ人事課に異動。カオナビの運用や人事評価制度の見直し・運用を担当している。カオナビのユーザー主催企画「もくもく会」では運営メンバーとして参加。特技は手話。
Q1 現在採用している評価制度を教えてください。
長谷川氏 個々人が決めた目標への達成度合いを評価する「MBO」と、ふだんの取り組みやプロセスを評価する「コンピテンシー評価」の2つを組み合わせて、1年に1度実施しています。
片桐氏 「MBO」と「360度評価」を組み合わせて運用しています。評価でメインとなっているのは、MBOです。360度評価は個人の成長など、MBOだけではカバーできない従業員の頑張りを報酬の決定に活かすために導入しています。
北田氏 ベースとなるのは「MBO」です。ただ、最終的な給与・等級などを決めるときには、自社の価値観をもとにしたバリュー評価も組み合わせています。
Q2 どのような目的で評価制度を運用していますか?
長谷川氏 1番は、社員が納得して業務に取り組むためです。目標が定まらないまま仕事をすると、「いま取り組んでいることは、この先自分の何につながるのだろう?」と、先行きが不透明な道を進むことになってしまいます。
自ら目標を掲げ、それをしっかりと上長と共有することで、社員が1つひとつの仕事に納得したうえで取り組めるようになると思います。それは、目の前の仕事に対して前のめりに関わることにもつながると考えているのです。
また、たとえ成果が上がっていないからといって、その人の評価を一律に「0点」にするのかというと、そうではありません。会社のミッションである「人間関係をシンカさせる」にその人の行動・姿勢が沿っているのであれば、その点をコンピテンシー評価できちんと評価します。逆に成果が高くても、ミッションに反した行動が多ければ、コンピテンシー評価では厳しい値となるでしょう。
MBOだけでなくコンピテンシー評価があることで、最終評価において「こんなふうに行動してくれていたことをちゃんと見ていたよ」「こんなに成果が上がったんだね」と認められます。それが、翌年がんばるためのモチベーションになると思っています。
もちろん、評価は最終的に報酬決定へとつながります。ですが、評価制度は単なる処遇決定にとどまらず、そもそも社員が納得して業務に取り組むためにあるものだと私は考えています。
片桐氏 インターステラテクノロジズでは、直近1~2年で急速にメンバーが増えているのですが、私が入社する前は人事専任者が不在だったこともあり、代表や管理部長などが掛け持ちで評価を担当していた状況でした。
そこで、事業成長のために、まず大切なのは社内の人材が成長していくことであり、人材育成を加速させるためには人事評価を進化させなければならないという目的のもと、評価制度の見直しに取り組みました。
見直しにあたってまずは、現状の評価について社員からの意見を取り入れるために、全社単位でアンケート調査を実施しました。その結果浮かび上がってきた評価の課題が、「評価の判断軸が不透明」「評価期間が事業スピードに合っていない」などです。
こうした意見を反映する形で評価制度を見直し、現在では評価軸や目的を明確化したうえで、半期ごとに評価制度を運用しています。
また、MBOではバリューに関する目標・評価項目を取り入れています。その結果、評価のタイミングでバリューを軸に自分を振り返るきっかけとなり、バリュー浸透の目的もあると考えています。
北田氏 大きくは従来の属人的な評価判断ではなく、なぜその評価に至ったのか、きちんと説明責任を果たすためです。
というのも当社では、2021年に社員を対象としたエンゲージメントサーベイを行ったところ、「評価がどう給与に反映されているのか分からない」「給与が上がりにくい」という声が上がりました。そこで、これまで不明瞭だった評価を明確にする目的で評価制度を見直したばかりなのです。
まずは支店長級、課長級といったグレードと、そこにひも付く給与水準が妥当かというのを、他社と比べながら現状把握を行いました。そして、グレードと給与水準を固めた後、社外のコンサルティング会社や社会保険労務士にも依頼し、ディスカッションを繰り返しながら評価基準を明確化。そうやってつくり上げた評価が、給与の増減にどう結び付くかも明らかにしました。
その際、従業員のバリューの定着を図るためにバリュー評価も組み合わせることにしました。ここでいう定着とは、バリューを当たり前に体現できる状態を指します。
当社では経営サイドと従業員、従業員同士の働くうえでの認識のズレをなくしたいと考えています。そのために、スタンス・価値観・取り組み方といった当社のあるべき姿・行動(バリュー)を体現できているかどうかを、バリュー評価として、評価項目に組み入れています。
その他の目的も3つあり、1つ目は基本的なことですが、報酬決定のため。2つ目が上司、メンバーがきちんと対話する時間を設けるため。そして、3つ目が仕事を属人的にせず、目標を考案し、結果を出すために定量・定性で自身の仕事を進化させるためです。