適材適所の実現でスキルを最大限に活かし生産性向上へ
集めた人材データをもとに従業員1人ひとりに合った伸ばし方が見えてきたところで、話は研修やeラーニングを活用した人材育成の施策例に移った。
カオナビでは、動画やスライドなどの教材をシステム上で配信できるため、従業員がいつでもどこでも講座を受講できる体制を整えることができる。
研修講座は、「必須」もしくは「任意」と設定でき、入社研修など必須の研修のほか、従業員に応じて任意の講習も提供できる。そのため、従業員のスキルに合わせて「この研修を受けてください」といったカスタマイズが可能だ。
「従業員は、動画コンテンツにより映像を見ながら受講し、研修完了後には理解度を測るテストを受けます。そしてテストに合格すれば研修が終了になるという、そうした仕組みを構築することも可能です。
さらに、動画コンテンツに加えてスライドの投影ができるため、外部から提供された講習スライドを利用したり、概要欄にURLを添付して外部の動画コンテンツへ直接アクセスを可能にしたりもできます。このようにeラーニングを自社で構築して柔軟に活用していただけます」(後藤氏)
そして研修が終了した後、最も重要なのがスキルが向上した従業員に対して「新たなポジションへの割り当てや配置をする」ことである。従業員1人ひとりが適材適所を実現できれば、自身のスキルや適性を最大限に活かすことができ、その結果、企業全体の生産性が向上するからだ。
ポジションへの割り当てや配置を検討する際、「必須」と「任意」という検索条件を用いて候補者を絞ることができる。そして、候補から外れたメンバーにおいては「条件にマッチしたメンバー」のリストに集約し、合致度(パーセント)を可視化することも可能だ。
「データをもとに、たとえば『横山さんは100%条件を満たしているからアサインしよう』や『吉田さんや平井さんはリストに入れておこう』など、アサインの検討を容易に行えるのがカオナビの特徴です。また、現時点で候補に入っていなくても、将来性を考慮してアサインを決めることもできます」(後藤氏)
またカオナビでは、ポジションの構想時に組織全体を視覚化することも可能だ。次図の画面では、横軸に部署、縦軸に評価を入れてシミュレーションをすることで、新たなプロジェクトリーダーの選定や人材の配置変更など、組織内での人材配置を視覚的に検討可能になっている。さらに、部署間の異動や評価バランスの調整など、組織のさまざまなニーズに対応できるようになっている。
そして最後は集計機能だ。カオナビでは、システム内のデータを集計し、統計データを生成するだけでなく、グラフィカルに表現することで、より直感的な理解を促進する。
「昨今、人的資本情報の開示に向けて、人材データの活用の流れがより強まっています。企業で集めたデータを統計的に分析し、人材資源サイクルを効率的に回すことが重要。また、データを可視化することで、自社の方向性をより明確に見定められます」(後藤氏)
さらに、カオナビでは他社の開示情報から自社の現状を把握できる、先進的な取り組みにも力を入れている。
「他社の人的資本の開示情報のデータをまとめた『人的資本データnavi』というサイトを開設しました。このサイトでは、特定のフィルターを用いて検索できるため、たとえば『管理職に占める女性の割合』などの標準値を、業界や事業規模に応じて確認できます。そして、自社のデータと他社のデータを比較することで、市場の動向を踏まえ、今後目指すべき方向性を適切に定めることが可能になっています」(後藤氏)
講演の終わりに、後藤氏はタレントマネジメントの運用における重要なポイントについて触れた。
「人材育成や適材適所の配置を含むタレントマネジメントは、正解が1つではありません。多くの正解があります。そこで大事なのは何を選択するかということ。そのためには、他社がどのような基準で判断しているのかを知ることが非常に重要です。カオナビにはこれまで蓄積してきた多くのノウハウや活用事例がありますので、ぜひご相談ください」(後藤氏)