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イベントレポート《海外》| HR World Summit 2026 #4

AIネイティブ組織はどうつくるのか 人とAIが協働する組織の設計図

佐藤 邦彦[著]

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AI時代、ピープルアナリティクスはどう変わるのか

「AI時代のピープルアナリティクス」をテーマに活発な議論が交わされたパネルディスカッション
「AI時代のピープルアナリティクス」をテーマに活発な議論が交わされたパネルディスカッション

 イヴァネンコ氏は、AI面談コーチの試験運用を通じて、データを活用した評価指標そのものにも課題があったと振り返りました。当初、利用者の満足度を中心に評価しようとしていました。人事施策を導入した結果をデータで捉え、利用率拡大や継続率向上に活用するのは当然の話です。

 一方で、AIネイティブな組織づくりとは、そもそも情報共有や情報処理の時間的、リソース的ボトルネックを劇的に改善することを意味します。つまり、「役に立ちましたか」「満足しましたか」というアンケート結果を導入1ヵ月後に集めることは、それ自体がAXのコンセプトからして滑稽に映ってしまうのです。

 そこでinDriveは、トランスフォーメーションという変化のプロセスを常に把握し、アクションにつなげるべく、次の3つに評価指標を絞り込みました。

  1. Activation:対象者のうち、実際に利用を開始した人の割合
  2. Stickiness:人事から促されなくても継続して利用した人の割合
  3. Support Load:導入によってITや人事への問い合わせが増えた割合

 たとえば、初回利用率は高いのに継続率が低ければ、「興味は持たれたものの、現場では使い続ける価値が感じられなかった」と考えられます。一方で、利用率は高くても問い合わせが急増しているのであれば、「価値はあるが、全社展開できる状態には至っていない」という課題が見えてきます。重要なのは、「社員が気に入ったか」ではなく、現場で使われ続けているかを把握することです。AIによるデータ活用が可能だからこそ、これらのファクトデータを自律的に捕捉し、分析・レポートしてもらうことで、人は改善への考察に集中することができるのです。

 ここで、ピープルアナリティクスの意味も変わります。従来は、エンゲージメントや満足度、離職率、採用充足率など、人や組織の「状態」を示すデータが重視されてきました。これらは今後も重要な指標です。

 しかし、AIを起点としたトランジションは、AからBという状態変化のスピードが劇的に早くなることを意味します。こうした環境下においては「状態」ではなく「変化」に着目したデータ分析が有用となることが何度も指摘されていました。組織変革において、組織のリーダーたちが変革のオーナーシップを発揮することが重要であることは言うまでもありません。彼らがどれだけ「変化」しているのか、その行動や姿勢にひも付くデータである行動データを分析することで、組織のトランジションは先導できるということです。

 AI時代のピープルアナリティクスとは、人とAIがより良く協働できる組織を育むための「学習のインフラ」となるのです。

AIと人がともに進化し続ける組織をつくる

 今回は、AIネイティブな組織へのトランジションをテーマに、人とAIの役割設計、現場への定着、データによる改善、そして人間が考え続けることの重要性について考察しました。

 AI時代に競争力を生むのは、高性能なAIではなく、人が問いを立て、意味付けし、意思決定し続けられる組織です。その条件を設計し、育み続けることこそ、人事の役割なのだと思います。

 次回は最終回として、AI時代のL&D(人材開発)を「学ばせる機能」ではなく、人が変わり、育ち、成果を出すための条件を設計する営みとして捉え直します。そして、連載を通じて見えてきたAI時代の人事の役割について、まとめてみたいと思います。

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この記事の著者

佐藤 邦彦(サトウ クニヒコ)

HumanDriven株式会社 代表取締役 CEO

早稲田大学政治経済学部卒。2008年リクルートに新卒入社。HR領域で営業、企画、マネジメントを経験。2015年からはリクルートホールディングスにてシェアリングエコノミーの事業開発、働き方変革推進のプロジェクトリーダーを務める。2020年にココナラへ参画...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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