『罰ゲーム化する管理職』から2年半、管理職の現在は——小林氏に聞く「対話の限界」と「心でっかち社会」
対話の限界——組織にコミットしないけど、働き続けるために空気は読む
——その組織と個人のズレの間に立たされているのが管理職なのかなと思いました。
小林 そうですね。私は、信じてる哲学がそれぞれ違っていて、信念としての自分らしさがあるんだったらそれでいいと思うんですよ。
問題は、そこまで組織とのズレが大きくなっているのに、流動性が上がってないことです。自分らしさを突き詰めて自分に合う職を探せばいいのに、仕事を辞める若年層は増えていない。
ここに面白い調査があるのですが、この30年で若手からシニアまで伸びた価値観の1つが「協調性」です[1]。つまり、全世代で「空気を読め」という思考がとても強まってます。それは、空気を読まないことは誰かを傷つけることだから。
丹下 内圧が下がって会社にそこまでコミットしない一方で、組織として働くために空気を読む人が増えているということですね。
小林 組織に本気でコミットしないから、喧嘩をする意味がないんですよね。まるで仮面夫婦です。ここに離婚届はずっとあるんだけど、使わないまま、喧嘩もしないまま、ただただやり過ごす。で、近所の人たちにはある種仲良くやっているように見せかけるみたいなことを、40年続ける気だと。
丹下 たしかに、マネージャーを支援するための施策として、メンバー層のみなさまも協力してくださいと呼びかけると、「なぜ協力しなきゃいけないのか」という声が寄せられることがあって、衝撃を受けました。自分のチームの運営がうまくいくことは結果的に自分を良くするはずなのに、そこには関心がない。
そういうチームに対して、管理職の対話力が高ければとか、コミュニケーション能力や人間力を高めてメンバーとちゃんと向き合えばチームに熱量が生まれるはずだという論調になると、やっぱり限界があるんじゃないかと思います。
小林 相当難しいと思います。そもそも、コミュニケーションで人の心を動かすこと自体が難しい。
今は、個人主義と同時に心理主義でもあります。「心でっかち社会」ですね。泣いたとか感動したとかが最大の基準点になっているのもそうですし、マネジメントを語るとき、エンゲージメントやモチベーション、内発的動機付けなど心理学用語がばっこしまくっています。
でもこれらの心理学用語は、コミュニケーションとは非常に相性が悪いんです。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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